近年、小学校や中学校で不登校となる子どもが全国的に増加しており、「学校に行けないこと」は決して特別なケースではなくなってきました。令和6年度に文部科学省がまとめた調査によると、小学校は137,704人、中学校は216,266人、合計で353,970人が不登校と報告され、いずれも過去最多を更新しました。こうした状況を受け、名古屋市と教育委員会では、不登校の子どもを対象にフリースクールを利用する家庭への補助金制度の創設を検討しています。この取り組みは市議会でも取り上げられ、新聞でも報道されました。(中日新聞 令和8年2月21日付)これにより、これまで費用面で利用をためらっていた家庭にとっても、経済的な負担の軽減が期待されています。
本記事では、フリースクールとはどのような場所なのか、子どもにとってどのような役割を果たすのか、さらに利用を検討する際にどのような基準で選べばよいのかに加え、名古屋市で検討されているフリースクール利用家庭への補助金制度についても、わかりやすく解説します。
不登校が増えた原因
生活リズムの乱れ・モチベーション低下
生活リズムの乱れにより、朝起きられなかったり授業中に集中できなかったりすると、学習や活動へのモチベーションが低下しやすくなります。こうした状態が続くと、学校に行く意欲も徐々に失われる傾向があります。スマホやネットの普及、生活環境や学習内容の多様化、SNSによる他者との比較意識の増加などが、昔に比べてこの問題を悪化させる一因と考えられます。
心理的ストレス・不安の増加
生活リズムの乱れやモチベーション低下に加え、心理的ストレスや不安が重なることで、学校に通う意欲がさらに下がることがあります。授業や友人関係での小さな失敗や緊張が積み重なることで、不安感や緊張感が増し、登校へのハードルが高くなります。現代では、情報過多や周囲との比較による負担が増え、昔より心理的ストレスや不安を感じやすくなっています。
人間関係の複雑化
友人関係やクラス内での立場、教師との関わりなど、人間関係が複雑化すると、孤立感やストレスを感じやすくなり、学校に行きにくくなる場合があります。SNSなどオンラインでのやり取りが日常化したことや、学習・課外活動の多様化によるクラス内での立場の変化、価値観の多様化も影響し、昔に比べて人間関係の複雑化が不登校増加の一因となっています。
発達特性への理解の広がり
近年、発達障害やADHDなどの発達特性に対する理解が広がる中で、学校に行くことが困難な子どもが「無理に通う必要はない」と考えられるようになり、家庭でも休養や別の学びの選択肢が尊重される傾向があります。こうした理解の広がりは、子ども自身や保護者が学校生活の負担を認識しやすくなる一方で、結果として不登校と判断されるケースが増えている要因のひとつと考えられます。
保護者の価値観の変化
保護者の間で、学校に行くことだけが子どもの成長の全てではないという考え方が広まりつつあります。学習や生活のサポートを家庭や地域で行うことが尊重され、無理に登校させるのではなく、子どもの状態や気持ちを優先する判断が増えています。このような価値観の変化も、昔に比べて不登校が増える背景のひとつとして挙げられます。
フリースクールとはどのような場所か
フリースクールは、学校に通うことが難しい子どもたちに対して、安心して学び、過ごすことができるようサポートする民間の施設です。学習だけでなく、子どもたちの心や生活リズムを整える居場所としての役割も大きく、一人ひとりのペースや状況に合わせた支援が行われています。一般的な小学校・中学校と異なり、授業は一斉指導ではなく、個別の学習やグループ活動を中心に行うことが多いのが特徴です。学習内容だけでなく、生活習慣や対人関係のサポートも重視されており、学校に通うことに不安を感じる子どもが安心して過ごせる環境が整っています。また、子ども自身が「やってみたい」と思える活動や体験学習を通して、自信を取り戻す機会を持てる点も大きな魅力です。

フリースクールの基本的な役割
学習支援だけでなく、生活リズムの安定や心の居場所の提供、対人関係や社会性の育成といった総合的なサポートを行う民間の居場所であり、一人ひとりのペースや状況に合わせて安心して過ごせる環境を提供することを基本的な役割としています。
・小学校、中学校との違い
フリースクールは、小学校や中学校とは学習や生活の進め方が少し異なります。
・学び方の柔軟性
小中学校では、一斉授業が中心で全員同じ時間に同じ内容を学びます。フリースクールでは、個別学習やグループ学習、生活体験など、生徒一人ひとりのペースや興味に合わせて学ぶことができます。
・カリキュラムの自由度
小中学校は学習指導要領に沿って授業が組まれます。フリースクールでは、学習だけでなく、社会体験やSST(ソーシャルスキルトレーニング)など、生活や人間関係を育む活動も重視されます。
・雰囲気、環境の違い
教室で座って授業を受ける形が中心の小中学校に対し、フリースクールでは、自由に話し合ったり、体験型の活動を行ったりする環境が多いです。
出席扱いになるケースについて
フリースクールや自宅学習を通じた出席扱い制度には、細かなルールや条件があります。学習方法や活動内容によって出席として認められる場合がありますが、最終的な判断は校長に委ねられています。そのため、条件を満たしていても学校によって対応が異なることがあります。制度を利用する際は、必ず学校に確認し、どの活動が出席扱いになるか、どのような報告方法が必要かを相談することが大切です。これにより、欠席日数への不安を和らげつつ、お子さんのペースに合わせた学びを安全に継続することができます。
詳しい情報や申請方法については、こちらをご覧ください: 「出席扱い制度を知っていますか?不登校と学びの選択肢」
フリースクールを選ぶ基準
フリースクールは学校外での学びの選択肢として有効ですが、利用を検討する際にはいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。特に以下の4つの観点を確認すると安心です。
対象となる年齢
フリースクールによって、受け入れ対象の学年は異なります。小学生のみ、中学生のみ、あるいは小中両方を対象にしている場合があります。
利用を検討する際は、お子さんの学年に対応しているかを確認しましょう。また、学年によってカリキュラムや活動内容が変わる場合もあるため、年齢に合った学びが提供されるかもチェックポイントです。
費用と補助金の活用
フリースクールの利用には、月額費用や教材費などがかかります。費用は施設によって幅があり、家庭の負担にならないか確認が必要です。
住んでいる地域によっては、補助金が活用できるケースがあります。補助金を利用すれば費用負担を軽減できるため、事前に学校や教育委員会に問い合わせて制度の適用条件や申請方法を確認しておくと安心です。
スタッフの専門性
フリースクールの学習支援や生活支援を担うスタッフの経験や専門性も重要です。
・教育経験や発達支援の知識があるか
・スクールカウンセラーや心理士が在籍しているか
・不登校児童や特性に応じたサポートの実績があるか
こうした点を確認することで、お子さんに合ったきめ細やかな支援が受けられる施設を選ぶことができます。
見学時に見るべきポイント
実際に施設を見学すると、文章や資料だけでは分からない雰囲気や学習環境を感じ取ることができます。見学の際は、参考として、次のような点を軽く意識してみるとよいでしょう。
・スタッフと子どもの関わり方
・活動の内容や進め方
・生徒の表情や安心して過ごせているか(自分の子どもも、安心して過ごせそうか)をチェック。
さらに、見学の際にスタッフに質問することで、カリキュラムの内容や出席扱い制度の対応、家庭でのサポート方法などについて、情報を得られる場合があります。気になることや知りたいことがありましたら、遠慮せずに質問してみるとよいでしょう。
名古屋市の補助金制度の最新情報(2026年3月現在)
最新情報
2026年3月23日、名古屋市は不登校児童の増加に鑑み、フリースクール等利用料補助金の支給を決定しました。
補助対象となるのは名古屋市在住かつ2026年4月以降にフリースクール等を利用した児童の保護者で、名古屋市の就学援助の認定を受けていれば児童生徒1人あたり利用料の50%(月額上限22000円)を、認定を受けていない場合は児童生徒1人あたり利用料の25%(月額上限11000円)を受け取れます。(利用料以外の入学費や施設整備費、教材費や交通費、土日祝日の日額利用料は補助金の対象外となります)
※就学援助の認定については就学援助(未来まなび応援金)をご覧ください。
申請受付は2026年9月を予定しており、その際は以下の書類が必要となります。
◎事業者(運営者側)が準備する書類
児童生徒が施設を利用した日ごとの通所状況
・利用した日、活動時間、活動内容などについて月ごとに学校及び保護者に報告する書類
◎保護者が準備する書類
・フリースクール等への利用料の支払いを証明するもの(領収書など)
具体的な申請方法は2026年8月を目処に周知される予定となっており、現在フリースクール等を利用されている方、あるいはこれから利用する予定がある方は、申請時に必要となる可能性があるため、関連書類は大切に保管していただけますようお願いいたします。詳しくは名古屋市フリースクール等利用料補助金(不登校児童生徒支援)にてご確認ください。
保護者ができるサポートのポイント
子ども一人ひとりの状態に合わせた柔軟な対応が重要です。
例えば:
・学習だけでなく、生活リズムや心のケアを優先する
・小さな成功体験を積み重ねて自己肯定感を高める
・家庭と学校・フリースクールとの連携を丁寧に行う
こうした対応は、すぐに解決策が見つからない場合でも、子どもが安心できる環境づくりにつながります。
名古屋市で相談できる窓口
具体的に相談したい場合は、名古屋市内の公的な窓口を活用するのが安心です。
例えば
・ハートフレンドなごや(名古屋市教育センター内)
不登校、いじめ、学習不安、発達の悩みに対応
電話番号:052‑683‑8222
来所相談(予約制):052‑683‑6415
・なごやフレンドリーナウ(教育支援センター)
心理的な理由で登校できない児童生徒を対象に、市内4か所(浄心、笠寺、鶴舞、大曽根)で、通所による教育支援を行っています。
・教育相談や学習・生活支援を提供
・市内複数施設で見学・通所相談可能
※施設ごとに電話番号が異なるため、連絡の際はあらかじめご確認ください。
・その他、子どもSOSほっとライン24 や 名古屋市子ども・若者総合相談センター も活用できます。
まずは総合相談窓口に連絡し、現在のお子さんの状況や困りごとを詳しく伝えましょう。そのうえで、相談員と一緒に、利用できる支援先やフリースクールの情報、次に取るべきステップなどを整理しながら考えていくことが大切です。こうしたプロセスを通じて、焦らずに子どもに合ったサポートの道筋を見つけることができます。

子どもが安心できる環境のために
不登校や学校に通うことに不安を感じる子どもにとって、家庭や学校だけでなく、フリースクールといった多様な学びの選択肢があることは大きな支えになります。名古屋市では、補助金制度の整備も検討されており、経済的な負担を軽減しながら子どもが安心して学べる環境づくりが進んでいます。
まずは焦らず、状況を整理しながら、学校や専門機関と連携して子どもに合った支援を探してみましょう。適切な情報や支援を得ることで、子どもが少しずつ自信を取り戻し、安心して過ごせる日常につなげることができます。
ステラBASEでは、子ども一人ひとりの特性やペースに合わせた学びの場を提供しています。学習支援だけでなく、生活リズムの安定や心の居場所づくりにも配慮し、家庭や学校と連携しながら子どもが過ごしやすい環境づくりをサポートしています。フリースクールの利用や制度の活用について知りたい場合は、気軽にご覧いただければと思います。
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