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吃音とは?発達障害との関係と支援をわかりやすく解説

お子さんが話している途中で言葉がつっかえたり、同じ音を繰り返してしまったりする様子を見て、
「緊張しているのかな」「慣れていないだけかもしれない」「落ち着いて話せば大丈夫なはず」
と思ったことがある親御さんもいるでしょう。

こうした話しにくさが頻繁に見られる場合、その背景に吃音(きつおん)の可能性が考えられることもあります

吃音は、発話や発声の練習不足だけで説明できるものではなく、発達の過程や脳の働きと関係しながら現れることがある特性のひとつです。

しかし、吃音については十分な理解が広まっているとは言いがたく、発達障害との関係についても正確に知られていない部分が多いのが現状です。

この記事では、吃音とはどのようなものなのか、なぜ誤解が生じやすいのか、そして発達障害との関係について、できるだけわかりやすく解説していきます。吃音を正しく知ることが、子どもが安心して話せる環境づくりの第一歩になるはずです。

 

吃音とは

発声や発話の際に、話そうとする内容や気持ちははっきりしているにもかかわらず、言葉がスムーズに出にくくなる状態を指します。主に「連発」「伸発」「難発」と呼ばれる3つの特徴的な話し方が見られます。

 

連発

言葉を言い始めるときに、最初の音を繰り返してしまう状態です。
たとえば「僕は」と言おうとして、「ぼ、ぼ、ぼ、僕は」と同じ音を続けて発音してしまいます。

 

伸発

単語の中の音が不自然に長く伸びてしまう状態です。
「お母さん」と言おうとして、「おかーーーーさん」と音が引き伸ばされるように聞こえることがあります。

 

難発

言葉を出そうとしたとき、最初の音がなかなか出てこない状態です。
「質問いいですか?」と言おうとして、「……っ、し、質問いいですか?」と、言葉の前につかえが生じることがあります。

緊張したときや、言葉を慎重に選ぼうとしたときに、似たような経験をしたことがある人も多いかもしれません。吃音の場合は、こうした状態が日常的に、繰り返し起こる点が特徴とされています。

 

2歳頃から見られる吃音の特徴と随伴症状

吃音は主に2〜5歳頃に現れることが多いと言われており、多くの場合は成長とともに自然に目立たなくなるともいわれています。ただし、中には大人になっても症状が続くケースもあります。

また、無理に声を出そうとした際に、顔や体の一部が一緒に動いてしまう「随伴症状」が見られることもあります。

 

随伴症状とは

ある疾患や状態に付随して起こる副次的な症状をいいます。

たとえば、吃音に伴い、まばたきが増える、口元や顔に力が入る、首を振る、手足に力が入るなどの様子が見られることがあります。

これらは、言葉を出そうとする中で生じる緊張や努力の結果として現れるもので、本人が意図的に行っているものではありません。

 

吃音は改善する?

年齢や環境、支援のあり方によって、話しやすさが大きく変わることは多くあります。

特に幼児期から学童期にかけて見られる吃音は、成長の過程で自然に目立たなくなるケースも少なくありません。一方で、思春期以降や成人になっても吃音の特性が続く人もいますが、それは決して珍しいことではなく、「うまく付き合っていく」ことが大切な視点になります。

 

吃音の原因について

現時点では、吃音の原因は特定されていません。
発達の過程に関係する「発達性吃音」と、脳の損傷や強いストレスなどによって生じる「獲得性吃音」があると考えられています。
体質、発達、環境など、複数の要因が関係している可能性が指摘されています。

こうした背景から、吃音は本人の努力不足や性格によるものではなく、また、育て方や関わり方だけで生じるものでもありません。

 

必要なのは「理解」と「支援」

厚生労働省では、吃音を発達障害の一つとして位置づけています。
吃音は本人の意思や努力不足によるものではなく、責任が本人にあるわけでもありません。

周囲が吃音について正しく理解し、話し方そのものではなく「伝えたい内容」に目を向けることで、本人は安心して話せるようになります。その安心感が、吃音と向き合ううえで大切な土台となります。

また、本人が「改善したい」「相談したい」と感じたときには、無理のない形で専門機関や支援につなぐことも重要です。

 

本人が感じやすい気持ち、内面

吃音のある人は、話し始める前からすでに緊張や不安を感じていることがあります。
「またつっかえてしまうかもしれない」「うまく言えなかったらどうしよう」といった思いが頭に浮かび、話す前から心と体がこわばってしまうことも少なくありません。

言葉が出にくい瞬間には、内容ではなく話し方そのものに周囲の視線が集まっているように感じることがあります。
そのため、「何を伝えたいか」よりも、「ちゃんと話せるか」「失敗しないか」に意識が向いてしまい、結果としてさらに言葉が出にくくなるという悪循環に陥ることもあります。

また、話の途中で言葉を遮られたり、先に言われてしまったりすると、「最後まで聞いてもらえなかった」「自分の言葉で伝えられなかった」という感覚が残ることがあります。
こうした経験が重なると、次第に話すこと自体を避けるようになったり、人前で発言する場面に強い抵抗を感じるようになる場合もあります。

一方で、吃音のある人すべてが常に強い不安を抱えているわけではありません。
安心できる相手や場面では、吃音がほとんど目立たず、のびのびと話せることもあります。この「話せるとき」と「話しにくいとき」の差があることも、本人にとっては戸惑いやすい点です。

大切なのは、「話しにくさ」だけを見るのではなく、その裏にある気持ちに目を向けることです。

 

周囲の関わりが吃音体験に与える影響

一見すると、周囲の声かけや関わりは、本人を気遣った前向きなサポートのように見えることがあります。話しにくそうにしている様子を見れば、「少しでも楽に話せるようにしてあげたい」「うまく話せるようになってほしい」と思うのは自然なことです。

たとえば、言葉がつかえたときに「ゆっくり話してね」と声をかけたり、うまく言えなかった場面で「もう一回言ってみよう」と促したりすることは、多くの場合、励ましや助けのつもりで行われます。また、吃音が出た瞬間に「今つっかえたね」と指摘することも、気づかせてあげようという善意から生じるものかもしれません。

しかし、こうした関わりが、必ずしも本人にとって楽になるとは限りません。吃音のある人は、自分の話し方についてすでに強く意識していることが多く、周囲の言葉がけによって「ちゃんと話さなければ」「失敗してはいけない」といった緊張やプレッシャーが高まってしまうことがあります。その結果、かえって言葉が出にくくなったり、話すこと自体を避けるようになったりする場合もあります。

大切なのは、話し方を整えさせることよりも、「最後まで聞いてもらえた」「伝えたいことを受け止めてもらえた」という経験を積み重ねることです。周囲が焦らず、遮らず、本人のペースを尊重して耳を傾けることで、話すことへの不安は少しずつ和らいでいきます。

 

吃音の支援や治療の考え方

過度な練習を求めない

吃音への関わりでは、上手に話せるようになることを急ぐあまり、練習を重ねることが必ずしも良い結果につながるとは限りません。話すことに対して不安や緊張を感じている場合、本人の気持ちが追いつかないまま取り組みを続けると、「うまく話さなければならない」というプレッシャーが強くなってしまうことがあります。

大切なのは、本人のペースを尊重し、負担にならない形で関わることです

 

環境を整える

吃音のある人が楽に話すためには、周囲の環境や雰囲気も大きく影響します。言葉を選んだり、声を出すまでに時間がかかることがあるため、会話のテンポについていけないと感じる場面も少なくありません。そのようなときに、「時間がかかっても大丈夫」「最後まで聞いてもらえる」と感じられる環境があることで、話者は安心して会話に参加しやすくなります。反対に、急かされたり、話し方に注目されすぎたりすると、話すことへの不安が強まることもあります。

 

専門家に相談する

言葉を使ったコミュニケーションに関する困りごとを専門的に支えるのが、言語聴覚士です。
話すこと、聞くこと、理解することなどに関わる課題に対して、一人ひとりの状態に合わせた支援を行う専門職で、厚生労働省が認める国家資格でもあります。

言語聴覚士は、医療や介護の現場だけでなく、教育や福祉など幅広い分野で活躍しています。吃音についても、病院や発達障害者支援センターなどで、言葉の使い方や話すときの不安への向き合い方を含めた支援が行われています。

愛知県には、吃音を含む発達に関する相談ができる公的な支援機関があります。また、医療機関で言語聴覚士による支援を受けたい場合には、専門職団体の検索ページを利用して探すこともできます。いずれも、困りごとを整理し、必要に応じて適切な支援につなぐための窓口として活用できます。

 

 

愛知県内の主な相談先・情報リンク

 

名古屋市発達障害者支援センター「りんくす名古屋」
 (名古屋市在住の方を中心に、発達に関する相談に対応)


 

あいち発達障害者支援センター
 (県全域を対象とした発達障害に関する総合的な相談窓口)


 

一般社団法人 日本言語聴覚士協会(病院検索ページ)
 (言語聴覚士が在籍する医療機関を検索できるページ)


 

 

吃音と発達障害との関係

研究では、吃音のある子どもの一部に、注意の向け方や感覚の受け取り方など、発達の特性があわせて見られることが報告されています。
しかし、これは「発達障害があるから吃音が起こる」「吃音の原因が発達障害にある」ということを示すものではありません。

吃音は、発達の過程や脳の働き方、体質、環境など、複数の要因が関係しながら現れると考えられており、その現れ方には個人差があります。
そのため、吃音のみが見られる場合もあれば、他の発達特性とあわせて見られる場合もあります

発達障害という言葉から、「特別な支援が必要な状態」「重い困りごとがあるのでは」と不安を感じる方もいるかもしれません。しかし、発達障害とは、できないことを示すラベルではなく、脳の働き方や発達の仕方に個人差があることを示す概念です。
吃音もその一つとして、「話す」という機能に特性が表れている状態と捉えることができます。

重要なのは、診断名の有無にとらわれることではなく、その子・その人がどんな場面で話しにくさを感じているのか、どんな支えがあれば安心して話せるのかを丁寧に見ていくことです。
発達障害との関係を正しく理解することは、吃音を過度に心配したり、逆に軽視したりすることを防ぎ、本人に合った関わりや支援を考えるための手がかりになります。

 

吃音との向き合い方まとめ

吃音は、話し方の癖や性格、努力不足によって起こるものではなく、発達の過程や脳の働き方と関係しながら現れる特性の一つです。
言葉がつっかえたり、音を繰り返したりする様子は、本人の意思とは関係なく起こるものであり、無理に直そうとすることが必ずしも解決につながるわけではありません。

吃音は幼児期に見られることが多く、成長とともに目立たなくなる場合もあります。一方で、思春期以降や大人になっても特性が続く人もいますが、それは決して珍しいことではなく、「治さなければならない状態」と捉える必要はありません。
大切なのは、話し方そのものではなく、その人が安心して話せるかどうかという視点です。

周囲の関わり方は、吃音の体験に大きな影響を与えます。
急かしたり、話し方を指摘したりするよりも、最後まで耳を傾け、伝えたい内容を受け止める姿勢が、本人の安心感につながります。その積み重ねが、「話しても大丈夫」という感覚を育てていきます。

吃音と発達障害との関係についても、過度に結びつけて不安に感じる必要はありません。
診断名の有無よりも、「どんな場面で話しにくさがあるのか」「どんな配慮や支えがあれば楽になるのか」を丁寧に見ていくことが、本人に合った支援につながります。

困りごとを感じたときには、言語聴覚士や公的な支援機関に相談することも選択肢の一つです。
吃音を正しく理解し、安心して話せる環境を整えることが、本人の「伝えたい」という気持ちを守る大切な土台になります。

 

 

 

 

 

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