我が子に対して、
「どうして、周りの子と同じように過ごしているはずなのに、こんなに疲れているのだろう」
「少しの音や雰囲気の変化で、落ち着かない様子に見える」
そんな疑問や違和感を抱いたことはありませんか?
もしかしたら、それは「HSC」という生まれ持った感じ方の違いが関係しているのかもしれません。
今回は、HSCの特徴や発達障害との違い、関わり方のヒントについて解説しますので、最後までぜひ、ご一読ください。
HSCとは?繊細さという気質の考え方
HSC(Highly Sensitive Child)とは、生まれつき感受性が高く、周囲の刺激や人の気持ちを敏感に感じ取る子どもの気質を指す言葉です。
音や光、匂い、言葉のニュアンス、人の表情など、さまざまな情報を深く受け取りやすい特徴があります。
この概念は、アメリカの心理学者エレイン・N・アーロン博士によって提唱された「HSP(Highly Sensitive Person)」の研究をもとに、子どもに当てはめた考え方です。HSCは病気や診断名ではなく、生まれ持った気質のひとつとして捉えられています。
この「繊細さ」は良し悪しではなく、その子が元々持っている感じ方の個性のひとつです。
HSCは病気や診断名ではない
HSCは、医学的な病名や診断名ではありません。検査によって診断されるものでもなく、治療の対象でもありません。あくまで「気質(生まれ持った傾向)」として理解される概念であり「問題がある」「治す必要がある」という考え方とは異なります。
生まれ持った「感じ方の違い」という視点
人にはそれぞれ、感じ方や反応の仕方に違いがあります。HSCの子どもは、情報をより深く、丁寧に受け取る特徴があると言えます。そのため、周囲が気づかないことに気づけたり、思いやりを持って行動できたりする一方で、刺激が強すぎると疲れやすくなることもあります。
HSCを理解する目的
HSCを理解することは、子どもの気になる行動を「性格のせい」や「育て方の影響」と決めつけず、その背景にある子ども一人ひとりの「感じ方の違い」に目を向けることができます。感じ方の違いを尊重することで、その子の力を生かしやすい関わり方や環境を選ぶことができます。こうした理解は、子どもだけでなく、保護者が抱きやすい不安や迷いを和らげる助けにつながります。
HSCの主な特徴
HSCには「DOES」と呼ばれる4つの特徴があります。
D:深く考える(Depth of processing)
O:外からの刺激を強く感じやすい(Overstimulated)
E:感情反応が強く、共感力が高い(Emotionally reactive)
S:ささいな刺激を察知する(Subtle Stimuli)
これらすべての特徴がみられる場合、HSCに該当するといわれています。
深く考える
その場の状況を一面的に捉えるのではなく、
周囲の様子や人の気持ち、起こり得る結果などを多角的に受け取り、深く考える傾向があります。そのため、すぐに行動に移すのではなく、いくつもの可能性を頭の中で整理しながら判断しようとします。その結果、周囲からは「慎重すぎる」「動きが遅い」と見えることもありますが、実際には失敗を避けようとしたり、状況を丁寧に理解しようとしている表れです。こうした特性から、行動に移るまでに時間がかかる場合があります。
外からの刺激を強く感じやすい
刺激を受けやすく、疲れやすい傾向があります。
刺激が多いと、本来の力を発揮できなくなることもあります。たとえば、外出先で元気がなくなったり帰りたがったりするのは、楽しんでいないのではなく、刺激を受けすぎて疲れている場合があります。
感情反応が強く、共感力が高い
物事を強く感じ取る傾向があります。学校の友だちや家族はもちろん、初めて会った人であっても、つらい気持ちを抱えていると自然と察し、寄り添うことができます。中には、人だけでなく動物の気持ちにまで共感する子もいます。
ささいな刺激を察知する
表情や声のトーンといったわずかな変化に気づきやすく、相手の髪型や身の回りの環境の小さな違いにもすぐに目が向きます。また、人の気分や雰囲気を敏感に察する力があります。

HSCと発達障害の違いをどう捉えるか
気質と特性はどう違う?
HSCは「気質」、発達障害は「発達特性」に基づくものです。発達障害は診断基準があり、生活上の困難が継続的に見られる場合に診断されます。一方、HSCは診断名ではなく、感じ方の傾向を説明するための考え方です。HSCと発達障害は混同されやすいものの、両者にはいくつかの異なる点があります。その中でも大きな違いのひとつが、他人の気持ちの受け取り方です。
発達障害のある子どもの中には、相手の気持ちや意図を読み取ることが難しく、人との関わり方に戸惑いを感じやすい場合があります。一方でHSCの子どもは、他人の感情や雰囲気を敏感に感じ取り、相手の気持ちに強く共感する傾向があります。
併存するケースもある
HSCの気質を持ち、なおかつ発達障害の特性を併せ持つ子もいます。どちらか一方だけで捉えるのではなく、全体像を見ることが大切です。
見分けるより「困りごと」に目を向ける
「HSCか、発達障害か」をはっきり分けることよりも、今どんなことで困っているのか、どんな支援があれば楽になるのかに目を向けることが重要です。
困りごとから考える具体的な対策
環境や関わり方を少し工夫することで、やわらげることができます。
大切なのは、行動そのものを変えさせるのではなく、
負担になっている刺激や状況を調整する視点を持つことです。
・音や人の多さで疲れる → 静かな場所で休める時間をつくる
・叱責に弱い → 否定ではなく、行動を具体的に伝える
・変化が苦手 → 事前に予定や見通しを伝える
このように、困りごとに合わせて環境や関わり方を調整することで、安心して過ごしやすくなります。
HSCの強みや長所が活きる場面
HSCの特徴でもある「繊細さ」は、一般的には困りごととして捉えられがちですが、環境や関わり方によっては大きな強みとして発揮されることがあります。周囲の変化や人の気持ちに敏感に気づける力は、他者への思いやりや共感力につながり、人間関係の中で大切な役割を果たすことがあります。
また、物事を深く考えたり、細かな違いに気づいたりする力は、創作活動や表現活動、集中して取り組む作業などにおいて力を発揮しやすい傾向があります。
一つのことにじっくり向き合える環境では、丁寧さや誠実さが評価される場面も少なくありません。
ただし、これらの力は、常に緊張や刺激の多い環境では表れにくくなります。
安心できる大人がそばにおり、自分のペースを尊重される環境が整うことで、HSCの子は本来持っている力を少しずつ発揮しやすくなります。
繊細さは弱さではなく、適切な環境の中でこそ活きる「その子らしさ」の一部です。
周囲がその特性を理解し、無理なく過ごせる土台を整えることが、HSCの子どもの可能性を広げることにつながります。
HSCとHSPの関係性
HSP(Highly Sensitive Person)は主に大人を対象とした概念で、HSCはその子ども版として考えられています。どちらも、生まれつき感受性が高く、刺激を深く受け取りやすいという共通した気質を示しています。HSCの子どもが成長する過程で、その特性が持続した場合、HSPとしての特徴を持つ大人になることもあります。一方で、成長や環境との関わりによって、刺激への対処の仕方を身につけ、日常生活での困りごとが目立たなくなるケースもあります。そのため、HSCとHSPは別のものではなく、年齢によって呼び分けられる同一の気質概念として理解されています。
HSCの特徴に気づくためのセルフチェック

HSCの特徴に該当するかどうかは、上記のチェックリストで調べることができます。「はい」が13項目以上当てはまる場合、お子さんはHSCの傾向が強いと考えられます。また、「はい」が1~2項目であっても、その反応が非常に強く現れている場合は、HSCの特性を持っている可能性があります。
セルフチェックは目安
チェックリストはあくまで傾向を見るためのものです。すべてが当てはまらなくても、当てはまる項目があっても問題ではありません。大切なのは、その子に合った関わり方を知ることです。
HSCの子に合いやすい環境とは
HSCの子どもは、周囲の刺激や人の感情をとても敏感に受け取る特性があります。そのため、どんな環境で過ごすかによって、安心して力を発揮できるかどうかが大きく左右されます。特別な配慮が必要というよりも、心が落ち着き、自分らしくいられる土台が整っていることが何より大切です。こうした視点から、HSCの子に合いやすい環境のポイントを整理していきます。
・安心できる大人がそばにいる
・失敗しても責められない
・静かに過ごせる場所がある
・自分のペースを尊重してもらえる
こうした環境は、HSCの子が力を発揮しやすくなる土台になります。
家庭でできる関わり方のポイント
家庭が一日の中で最も心を休められる場所であることが大切です。特別な対応をしなければならないわけではなく、「刺激を減らす」「安心感を高める」という視点を意識するだけでも、子どもの負担は大きく変わります。たとえば、疲れている様子が見られるときには、理由を問い詰めるよりも「今日はがんばったね」「少し休もうか」と声をかけることで、気持ちが落ち着きやすくなります。
また、できなかったことよりも、できたことや努力した過程に目を向けて伝えることは、自己肯定感を守ることにつながります。HSCの子は、大人の表情や声の調子にも敏感です。忙しいときや余裕がないときほど、短い言葉でも穏やかな伝え方を意識することで、子どもは安心しやすくなります。家庭で「そのままで大丈夫」と感じられる経験の積み重ねが、外の世界に向かう力を育てていきます。

相談先と支援の選択肢
家庭や学校だけで抱え込まず、教育相談、発達支援センター、医療機関、福祉サービスなど、外部の視点を取り入れることも大切です。「診断を受けるかどうか」ではなく、「安心できる相談先があるか」を基準に考えてよいのです。
迷ったときに大切にしたい考え方
正解を探そうとしすぎなくても大丈夫です。その子が「少し楽になる」「少し安心できる」選択を積み重ねることが大切です。
不登校は「問題」ではなく、子どもからのサイン
HSCの子は、周囲の音や雰囲気、人の感情、ちょっとした変化などを人一倍敏感に感じ取ります。
大人が気づかないような刺激や緊張も無意識のうちに受け取り、日々の生活の中で少しずつ心や体に負担をため込んでしまうことがあります。
そのため、疲れや不安が限界に近づいたとき、学校に通い続けることが難しくなり、不登校という形で表れることもあります。
ただそれは、怠けや甘え、失敗によるものではありません。
保護者の方には、表に見える行動だけで判断するのではなく、その背景にある子どもの感じ方や、積み重なった心身の疲れにも目を向けることが大切です。
学校以外の「安心して学べる場」という選択肢
学校以外にも、子どもが安心して学べる場という選択肢があります。
学びの場は学校に限られるものではなく、子どもの状態や特性に応じて、適した環境を選ぶことが重要です。特に、刺激に敏感で疲れやすいHSCの子どもにとっては、集団生活や学校環境そのものが負担となっている場合もあります。そのため、「学校に通えるかどうか」だけで判断するのではなく、「安心して過ごせるか」「無理なく学びに向かえるか」という観点から環境を検討することが求められます。安心感のある環境では、心身の負担が軽減され、子ども本来の力が発揮されやすくなります。
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