ディスレクシアとは?
ディスレクシアとは、生まれつきの脳の発達の特性で、診断上はLD(学習障害)、SLD(限局性学習症)に含まれます。知的な遅れや、全体的な発達に遅れはない場合が多く、文字の読み書きが苦手な場合、疑われる障害の一つです。
そのようなお子様を見て、不安になられる保護者の方も多いのではないでしょうか。
今回は不登校の原因にもなっている、ディスレクシアについて御紹介します。
ディスレクシアの概要
ディスレクシアは発達障害の一種で、知的に問題があるわけではなく、視覚・聴覚にも異常が認められず、読み書きだけに困難が見られるという特性です。本人の努力不足や育て方の問題ではなく、脳の生まれつきの情報処理の仕方の違いによるものです。近年はディスレクシアの特性を持っていても、活躍されている方々もたくさんいます。大切なのは、読み書きが苦手でも、本人が自分をあきらめないことです。読み書き以外にも本人の好きなことを伸ばしていく、周りのサポートもとても重要です。
小学生に多く見られる困りごととは?
ディスレクシアは、発達障害の中でも一番発見が遅くなる傾向があります。なぜかというと、小学校に上がって初めてわかるケースも少なくないからです。就学する前の年齢では、診断がつきにくいこともあります。
小学生で多い困りごとは、
・音読が頭に入らず、時間がかかる
・読み間違いや飛ばし読みが多い
・漢字を何度練習しても覚えられない
・書くことに強い抵抗があり、極端に疲れる
・テストは時間がかかる
周囲からは「努力不足」「不注意」「練習不足」と思われがちですが、本人はとても頑張っていることが少なくありません。
原因と背景
ディスレクシアを含む、LD(学習障害)、SLD(限局性学習症)の原因ははっきりとはわかっていませんが、脳の部位に何らかの機能障害や偏りが見られるということはわかっています。
脳の特性による情報処理の違い
生まれつきの脳機能の偏り(神経生物学的要因)が有力で、特に、音韻処理能力(言葉の識別・操作する力)の困難さが中心的背景です。音韻処理能力の困難さは、音の識別、記憶、分析が苦手で、文字と音を結びつける(デコーディング)プロセスに支障がでます。脳機能の偏りに原因がある場合、特定の脳領域の発達の偏りや機能不全が原因と考えられます。漢字を使う日本語では、視覚認知力(形を捉える力)の弱さも関連する場合もある。遺伝的要因も指摘されており、家族にディスレクシアの人がいると、発現しやすい傾向があります。
発達障害(ADHD・ASD)との関連性
互いに併存しやすい関係にあります。特にADHDがある人の3割〜4割にディスレクシアがASDがある人にも読み書きの困難が見られることがあり、併存することで、症状が複雑化し、2次的な問題(不登校・自信喪失・不安障害・抑うつ)などを引き起こすこともあります。
ADHDとディスレクシアは「音韻認識の障害」「注意・集中の障害」「ワーキングメモリの障害」などが共通して見られます。
ASDとディスレクシアは認知特性の重複がみられ、音韻認識の障害に加え、言語性、視空間ワーキングメモリの障害が関連することがあります。
ADHD、ASD、ディスレクシアの3つの特性は、独立しているだけでなく、互いに影響しあって現れることが多いため、包括的な理解と支援が不可欠です。
家庭環境や育て方が原因ではない
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「もっと早く教えていれば」「親の関わりが悪かったのでは」、そう自分を責めてしまう保護者の方も少なくありません。しかし、ディスレクシアは育て方や家庭環境が原因ではありません。お子さんの努力不足でも親の責任でもないことをまず、知っていただきたいと思います。
ディスレクシアの症状は、適切な教育的・心理社会的アプローチ(合理的配慮など)によって大きく改善されます。家庭内での理解や、学校・専門機関との連携による支援体制が整っているかどうかは、子供の成長に大きな影響を与えます。
見過ごしやすい隠れディスレクシア
「隠れディスレクシア」とは、知的発達に遅れがなく、理解力が高いために、読み書きの困難さが周囲に気づかれず、大人になってから診断や、自覚に至るケースです。
「隠れディスレクシア」は一般的なディスレクシアと同様、脳の機能的な要因により、文字の結びつきがスムーズにできない障害ですが、本人の高い知能や努力でカバー(補償)してしまっているのが特徴です。
医療機関での相談・診断はどこでできる?
ディスレクシアの診断や相談は、小児科、児童精神科、発達外来などの医療機関、保険センター、発達障害者支援センターの行政機関などで可能です。
まずは、かかりつけ医や地域の保健センターで相談し、専門医や支援機関を紹介しもらうのが一般的です。
学校や公的な相談機関でできること
学校や、公的な相談機関では、いじめ、不登校、学習、友人関係、親子関係、発達障害、メンタルヘルスなど、子どもや保護者が抱える様々な悩みの相談を受け付けています。
学校でできることは、日常的な見守りと声かけ、情報共有と連携、具体的な支援の実施(保健室登校の導入)などがあります。
公的な相談機関では、専門家による個別相談(臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士など)を行い、各関係機関と連携をとり、多様な支援を提供します。スクールカウンセラーが学校に配置され、生徒、保護者を支援します。教育相談センターでは、教育委員会を設置し、発達、いじめ、不登校等の専門相談を行います。その他、児童相談所、精神保健福祉センター、ひきこもり地域支援センター、24時間子供SOSダイヤル、こどもの人権110番などがあります。
ディスレクシアのテスト、検査内容と診断の流れ
ディスレクシア(発達性読み書き障害)の診断は、問診や複数の心理検査、医学的な評価などを総合して行われ、単一のテストで診断できるわけではありません。診断は専門家(小児科、精神科、発達外来など)によって行われます。
まず、予診・問診では困っている内容について本人や家族から詳しく聞き取ります。生育歴・既往症・学習歴・家族歴などを確認し、どのように続いているかを把握します。
次に、視力や聴力に異常がないかを確認する医学的評価を実施します。てんかんや脳の疾患がないか調べるために、脳波検査、頭部画像検査(CT、MRI)などが行われることもあります。
その他、WISK検査を実施し、言語理解、知覚推理、ワーキングメモリー、処理速度などの認知特性の偏りを評価します。学習到達度検査(読み書き特化テスト)も行われ、実際の読み書き能力の評価のため、文字の読み取り速度や正確さ、単語や文章の音読の能力、スペリングの誤りパターンなどを詳細に調べます。
総合的な診断は、問診、医学的評価、各種検査の結果を総合的に判断します。
DCM-5(精神疾患の診断、統計マニュアル)に基づき、知的能力に比して、読み書きの能力に著しい困難がある場合に「限局性学習症(SLD)」の中の「読字障害」(ディスレクシア)と診断されます。他の発達障害(ADHD, ASD)の併存や鑑別も考慮されます。
すぐに受診すべきか迷ったときの考え方
ディスレクシアの受信を検討するタイミングは、次のような状態が続いているような時は、一度専門機関に相談することをおすすめします。
・読み書きに苦手意識があり、学習を避けるようになっている
・「どうせできない」「自分はだめだ」という発言が増えている
・宿題やテストの場面で、極端に疲れたり、感情が不安定になっている
・学校に行き渋る、頭痛や腹痛などの身体症状が出ている
「もう少し様子を見たほうがいいのか、それともすぐ受信した方がいいのか」ディスレクシアが気になり始めた時、多くの保護者がこの段階で悩まれます。受信や相談は「診断」をつけるためのものではありません。読み書きの困難さを客観的に整理し、どのような支援や配慮が必要かを知ることが大きな目的です。
名古屋で診断できる病院を紹介
ディスレクシアの診断を受けるためには、小児科・発達外来、精神科・児童精神科など、専門の医師による診察が必要です。
名古屋にある専門機関は
・ディスレクシア協会名古屋 https://dyslexia-nagoya.org/
・東山発達相談室 https://higashiyama-hattatsusoudan.net/
・すてっぷサポート https://stepsupport.city.nagoya.jp/
などがあります。
診断を受ける際は、まず、予約をとることをお勧めします。
家庭でできる対処法と関わり方
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1.環境を整え、集中しやすい空間を作る
ディスレクシアのお子さんにとっては、日常の生活の中で、大半の時間を過ごす、家庭での関わり方がとても重要になってきます。安心して過ごせる環境を整え、自己肯定感を育む関わりが大切です。
勉強する時は静かな場所を選び、テレビや音楽がない集中できる環境を作りましょう。
そして、お子さんが混乱しないように、学習に必要な道具や教材は整頓しておくことが必要です。色分けやラベルを使うのも有効です。
2.目標を小さく設定し、達成感を感じさせる
ディスレクシアのお子さんは、学習の効果がすぐには出ないため、小さな目標を設定して行うことが大切です。長時間の学習は疲れやすくなるため、30分程度で休憩を挟みながら学習を進めると効果的です。
目標を達成した時には必ず褒めてあげましょう。
「よく頑張ったね」「今日はここまでできたね」と小さな成功を積み重ねることが自信に繋がります。
3.学習方法を工夫する
音読はディスレクシアの子供にとって文字と音を結びつける大切な練習です。視覚的なサポートとしては、文字を読む際に色や図形を使った教材を用いると視覚的に理解しやすくなります。絵本を使って学習するのも効果的です。スマートフォンやタブレットで音声入力や読み上げ機能を活用することで、文字を書く負担を減らすことができます。
家庭での声かけや学習の工夫
学習が楽しいものであると感じることで、モチベーションが高まります。ディスレクシアの子供向けに作られた学習アプリやゲームを活用することで、楽しみながら学ぶことができます。
ディスレクシアのお子さんは文字を読んだり、書いたりする際に他の子供達よりも時間がかかることがあります。
毎日の小さな一歩が、確実にお子さんの自信と未来に繋がっていきます。
お子さんが「できた!」と感じられるように小さな目標を設定することが大切です。
大きな目標だと達成感を感じる前に疲れてしまうことも。
少しづつ積み上げることが自信に繋がります。
学校と連携する際のポイント
ディスレクシアのお子さんにとって、学校でのサポートは非常に重要です。学校との連携では、お子さんの困っていることをきちんと伝えることで、適切なサポートを受けやすくなります。
ディスレクシアのお子さんには、学習方法に関する合理的配慮が必要です。例えば、音読の時間を長めにとったり、漢字練習をする際にフォントを大きくする、色を変えるなどの配慮が考えられます。
その他、必要に応じて、スクールカウンセラーや特別支援学級との連携も検討できます。
お子さんがディスレクシアを抱えていることで、学校での支援が必要となることは理解されていますが、そのサポートを得るために、学校との連携は非常に重要です。
ひとりで悩まず、早めに知ることが重要
ディスレクシアに限らず、発達に関する悩みはとても孤独に感じるものです。
大切なのはお子さんが困っていることを一人で抱え込まず、早めに専門的なサポートを求めることです。ディスレクシアは早期に発見することで、最適な支援が早期に始められます。
「まだ大丈夫だろう」と思っているうちにつまずきがどんどん積み重なって、本人の自信を失わせてしまうこともあります。
お子さんのディスレクシアが明らかになった時、大きな不安を持たれるかもしれません。
どうか一人で悩まずに、今できることから始めてみてください。
私たちステラBASEも保護者の方とお子さんの未来のために、今後も力を尽くさせていただきます。
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