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1歳の癇癪が激しいときに知っておきたい発達障害との違いと関わり方

 

 

 

癇癪とは?

子供が赤ちゃんから1歳くらいになると、何でも「自分でやってみたい!」という気持ちが芽生えてきます。

子供が泣き叫んだり、手足をバタバタさせたり、物を投げたりするような「感情の爆発」を伴う行動を「癇癪(かんしゃく)」と言いますが、これは、子供の発達過程でみられる一般的な行動で、言葉が未発達な時期によくみられます。

 

1歳は気持ちがうまく伝えられず癇癪が出やすい時期

1歳前後の子供は、自分の気持ちを適切に表現する方法や、相手にうまく伝える言葉の獲得も未発達なため、結果として癇癪をおこしてしまいます。

イヤイヤ期といわれる2〜4歳ごろに頻度が増え、5歳ごろには次第に落ち着く傾向があります。

癇癪の激しさや多さは、一人ひとり違い、その子の育つ環境や、発達障害などの特性が影響している場合もあります。

癇癪は子供の成長過程で自然に起こりうるもので、適切な対応で徐々に改善していきます。

 

 

癇癪と発達障害の違い

癇癪は多くの子供に見られる行動です。頻度が高いからといって、「発達障害」との関係を心配しすぎることはありません。

しかし、癇癪は子供にとって不都合なことが起こっている状況を、周りに伝える方法が未発達なために起こります。

頻度や程度の激しさと発達障害があることの直接的な関連性は証明されていません。

発達障害は本人の意思や気持ちとは関係なく、生まれつきの脳の機能の偏りによる特性です。

日常生活で、強いこだわりや不注意などの特性により、困りごとが生じやすい状態を指します。

発達障害の中には、具体的に自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症(SLD)などがあります。

自閉スペクトラム症(ASD)は、「対人関係やコミュニケーションの困難さ」と「興味の偏りや、強いこだわり」を主な特徴とする脳機能の特性です。

注意欠如多動症(ADHD)とは、「不注意」「多動症」「衝動性」の3つの特徴を主な症状とする発達障害(神経発達症)の一つです。これらの特徴は、幼い頃から見られ、学業や社会生活、人間関係など、様々な場面で支障をきたすことがあります。

限局性学習症(SLD)は、知的な発達に大きな遅れはないものの、「読む」「書く」「計算する」といった特定の学習の分野で、年齢相応の理解や習得が難しいことがある発達特性の一種です。

 

 

発達障害の特性が影響する癇癪の背景

発達障害の特性があると、癇癪が起きやすいケースがあります。

ここでは、代表的な背景を紹介します。

 

気持ちを言葉で伝えにくい

言葉の発達が遅れていたり、表現がうまくできなかったりすると、欲しい物や伝えたい気持ちがうまく伝わらず、それがフラストレーションとなって癇癪として現れることがあります。

発達障害の特性や年齢の発達段階によって、自分の気持ちを言葉で表現することが難しい子供は少なくありません。特に不安、怒り、悔しさなどの強い感情ほど、言葉にできず、癇癪という形で現れやすくなります。

1歳児の場合、親御さんの言葉を完全に理解することは難しいものの、声のトーンや表情から感情を読み取る力は育っています。

・「怖かったね」

・「嫌だったね」

といった短く具体的な言葉を、優しいトーンで伝える事が子供にとって大きな安心につながります。

 

行動や興味に偏りがある

発達障害のある子供は、行動の切り替えが苦手だったり、特定の遊びや順序に強いこだわりがあります。

途中でルールが変わったり、予想外の事が起きた時に不快さを感じやすく、それが激しい行動として現れる事があります。癇癪を完全に無くすことは難しいですが、周りの大人が工夫することで、癇癪を減らしていく事は可能です。

 

●普段からコミュニケーションを欠かさない

・「〇〇しようね」

・「できたね」

・「ありがとう」

といった肯定的な声かけを日常的に増やしていき、

・「どうして欲しいかな」

と、言葉で気持ちを伝えるきっかけを作る事も大切です。

親が根気よく伝え続ける事が大切です。

そして子供が自分で、「言葉で伝えた方がうまくいく」という成功体験を積んでいく事で癇癪は少しずつ減っていく事があります。

 

●ルールを子供に伝えておく

子供は「なぜ注意されたのか分からない」と癇癪をおこします。

・「寝る前は片付ける」

・「ご飯中は動き回らない」

・「友達を叩かない」

など、日頃から生活の中のルールをわかりやすく伝えておく事が大切です。

 

●なるべくストレスがかからない環境を整える

癇癪が起きやすいと感じた時は、原因になりやすい状況を見つけて環境を調節する事も大切です。

・イライラしやすい状況や物をできるだけ避ける

・眠くなりそうな時間帯は早めに寝かしつける

・空腹になりそうな時間帯は事前に食べ物を用意する

といった工夫も考えられます。

また、体調が悪い時や病み上がりの時期も癇癪は起こりやすくなります。

無理をさせず受診し、まずは体の回復を優先してあげましょう。

 

相手の意図をくみ取りにくい

他者の考えや意図を理解するのが苦手な場合、自分の希望が通らない状況に直面した時に不快さを感じやすく、それが癇癪として現れることがあります。

発達障害のある子供は、相手の立場になって考えたり、行動の理由を想像したりする事が苦手な場合があります。

理由がわからないまま行動を止められると、子供にとっては、「叱られた」「否定された」という感覚が強く残り、癇癪として現れてしまう事があります。

相手の意図を理解しにくいのは、わがままではなく、発達特性によるものです。

・「危ないからだよ」

・「順番だからだよ」

など、分かりやすい関わりを続ける事で、少しずつ他者とのやり取りを学んでいきます。

 

反り返る行動は、気持ち調整の難しさのサイン

どんな工夫をしていても、子供が癇癪を起こす事はあります。

体をそらしたり、激しく動いたりする行動は気持ちの切り替えが難しく、感情が溢れているサインです。

癇癪が起きた時には、まず危険がないよう見守ります。落ち着くまで言い聞かせず、聞く姿勢で寄り添いましょう。

気持ちの切り替えが難しい場合は、気を逸らしたり、その場を離れるのも一つの方法です。

 

安心できるママにだけ強く出ることがある

子供は、日常的に安心感を感じている相手に対してこそ、本来の気持ちをそのまま出しやすいものです。

そのため、外では我慢できても、家に帰ってママの前では強い癇癪を起こす事があります。

大切なのは、感情を出せた事自体を否定せず、落ち着いた後に寄り添いながら関わる事です。

安心できる存在があるからこそ、子供は少しずつ感情の調節を学んでいきます。

 

 

癇癪が起きたときの対応は?

 

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癇癪が起きた時、保護者がどう対応するかで子供の安心感や気持ちの落ち着き方が変わってきます。

癇癪の最中は、子供自身も感情をうまくコントロールできない状態にあります。「やめなさい」「落ち着いて」と言葉で伝えてもうまく届かない事も少なくありません。

大切なのは、癇癪を「困った行動」として止めようとするのではなく、子供が安心して気持ちを立て直せるように支える事です。

 

安全な環境をつくる

癇癪が起きた時に最優先したいのは、子供自身や周囲の人がケガをしない事です。物を投げたり、体を強く反らしたりする場合は、とがった物や壊れやすい物を遠ざけ、クッションや柔らかい物で、子供自身や大人も身を守りましょう。

その姿勢で癇癪を起こしている子供と関わる事で、子供も少しずつ安心感を取り戻しやすくなります。

無理に押さえつけるのは逆効果です。

 

無理に止めず、落ち着くのを待つ

子供の頭の中は、癇癪の最中、感情でいっぱいになっています。正論でやめさせようとしても、受け取る余裕がありません。安全を確保した上で、子供の感情がおさまり、落ち着くのを待ちましょう。そばにいて、静かに見守るだけでも「大丈夫」「ひとりじゃない」というメッセージになります。

 

落ち着けたことを伝える

癇癪が落ち着いた後には、その事自体をしっかり言葉にして伝えましょう。

・「落ち着けたね」

・「物を投げずにすんだね」

といった肯定的な声かけは、子供にどういった点が良かったかを具体的に伝えることによって、子供は「自分で気持ちを立て直せた」という自信につながります。

癇癪から回復できたことを認める事がポイントで、癇癪によって子供の欲求を満たせたと感じさせるのは、癇癪をエスカレートさせてしまいます。こうした積み重ねが、少しずつ感情を調整する力を育てることにつながります。

 

 

ママが「疲れた」と感じるときに知っておきたいこと

癇癪への対応は、体力だけでなく心のエネルギーも大きく使います。

癇癪を何度も繰り返される中で、「もう無理」「私の関わりが悪いのかな」と感じてしまう事は、決して特別な事ではありません。

そんな時に思い出してほしい事があります。子供は成長過程の中で癇癪を起こし、日々、感情の扱い方を学んでいます。

今の姿だけで将来が決まることはありませんし、必ずしも発達障害があるとは言えません。

そして、ママ自身の休息もとても大切な事です。

少し深呼吸をする、誰かに話を聞いてもらうなど、周囲に頼ることは弱さではありません。

「一人で頑張らなくていい」ということをどうか忘れないでください。

 

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発達障害や癇癪について相談できる場所は?

困った時には、地域の相談窓口や、支援機関を活用する事ができます。

1歳児の癇癪があまりにも激しい場合や、発達の様子に気になる点がある時には、早めに専門家へ相談することが大切です。

例えば、1歳半を過ぎても単語が出ない、特定の音や感触を嫌がる、目が合いにくいといった様子が見られる場合には、地域の保健センターや小児科に相談してみましょう。

1歳児は個人差が大きい時期ですが、専門家の意見を聞くことで、保護者の方が不安を抱え込まず、お子さんの必要な支援につながりやすい事があります。

相談をすることは、子供のためだけでなく、保護者の方自身の心の安心にもつながります。

 

児童相談所

お住まいの地域の児童相談所では、18歳未満の子供に関する相談を受け付けています。

児童福祉司や医師などが、専門的な助言や支援につなげてくれます。

癇癪に対する助言も行ってくれます。

 

子ども家庭支援センター

子ども家庭支援センターは、地域における児童福祉の専門機関として位置づけられています。

子育て全般の相談を受け付けている施設です。

電話や来所で悩みを受け付けています。

まずは、お住まいの地域の公式ウェブサイト で「子ども家庭センター」や「地域子育て支援拠点」の情報を検索し、最寄りの窓口に相談するのがおすすめです。

 

市区町村の児童家庭相談窓口

市区町村の窓口(家庭児童相談室や子育て支援課など、名称は自治体により異なります)は、住民にとって最も身近な第一義的な相談窓口です。

まずはこちらに相談し、適切な支援機関へつなげてもらう事も有効です。

 

 

癇癪のある子供の指導事例

癇癪が起こりやすい場面の一つに「楽しい活動を終えなければならない時」があります。

次の活動への切り替えが難しいのです。

特に時間の感覚をまだつかんでいないお子さんの場合、「あと○分」の伝え方が分かりにくく、不安や不満につながる事があります。

予定の変更や手順を絵カードやイラストで示し、見通しを持たせることが大切です。

ゲームの時間を終わらせたい時などは、「あと○分」ではなく、「このステージを○個クリアしたら終わりにしよう」と本人が理解しやすいルールに変える事も良い例です。

子供の中で「いつ終わるのか」がはっきりした事で、気持ちの準備がしやすくなり、次第に癇癪も減っていきます。

このように、子供の理解のしやすさに合わせて見通しを示す事は癇癪の予防にもなります。

行動の切り替えが苦手な子供ほど、「何が起こるのか」「次にどうなるのか」を分かりやすく伝える事が大切です。

 

 

癇癪の背景を知ることで、関わり方は変えられる

癇癪は単なる「困った行動」ではなく、子供がうまく言葉にできない気持ちや、生まれ持った特性が表れているサインです。思い通りにはならない悔しさ、不安、混乱といった感情を子供なりに必死に伝えようとしている姿とも言えます。落ち着ける環境を整え、子供の理解しやすい言葉で声をかけ、気持ちに寄り添う関わりを続けていく中で、子供は安心感を積み重ねていきます。

癇癪に向き合う毎日は簡単ではありませんが、一つひとつの関わりが無駄になることはありません。

子供も保護者も、少しずつ「安心して向き合える関係」を育てていくことができるのです。

 

 

 

 

 

 

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