
「学校に行けない。」「どうせ自分なんて…。」
そんな言葉を、あなたは聞いたことがありますか?
子供が引きこもりの状態になると、私たち大人は「どうにか元に戻してあげたい」「学校に戻ってほしい」と焦ってしまいます。
でも、その前に立ち止まって、子供の心の中で何が起きているのかを想像することがとても大切です。
引きこもりの子供たちの多くが抱えているのは、「自分の価値がわからない」「このままの自分ではだめだ」という深い自己否定の感情です。
それは怠けや甘えなどでは決してなく、社会や大人たちが作り上げてきた“価値のものさし”に傷つき、押しつぶされそうになっているサインかもしれません。
今日は、「自分の価値がわからない」と感じる子供たちの心の葛藤と、私たち大人がどう向き合えばいいのかを、一緒に考えてみたいと思います。
子供の心の奥にある「価値がない」という思い
子供たちが「自分には価値がない」と感じる背景には、さまざまな要因があります。
たとえば、学校などで勉強についていけなかった経験、クラスでの孤立やいじめの他、家庭での無意識な期待や比較など、「頑張ることが当たり前」とされる状況です。
こうした環境の中で、子供は「できない自分には意味がない」「親をがっかりさせた」「存在しているだけで迷惑かもしれない」と思い込んでしまいます。
実際には、私たちは何もできなくても、生きているだけで十分に価値がある存在です。
でも、今の社会では「何かができる」「努力している」「前向きである」ことにばかり価値が置かれがちで、その価値観からこぼれ落ちてしまった子供たちは、まるで透明人間のような気持ちで毎日を過ごしているのです。
支援とは「引っ張り出すこと」ではない
子供が引きこもると、親や周囲の大人は「どうにか動いてほしい」「このままではいけない」と、何とか変えようとします。
でも、無理に変えようとすることで、かえって子供をさらに追い詰めてしまうこともあります。
支援とは、「引っ張り出すこと」ではなく、「今いる場所で安心していられるようにすること」から始まります。
まずは、「今のままでも大丈夫だよ」と伝えること、そして子供が話し出すまで静かに待つこと、成長を焦らず、「今日は顔を見られただけでも十分」と思えることが大事になってきます。
これらはすぐに効果が見えるものではありませんが、心の奥にある緊張や不安がほぐれていくと、子供は少しずつ、自分のペースで動き始める力を取り戻していきます。
親としてできること、考えたいこと
「うちの子だけが、なぜ…」
「ちゃんと育ててきたはずなのに…」
そう感じる親御さんも多いと思います。
でも、子供が引きこもるのは、親のせいではありません。そして、子供自身のせいでもありません。
大切なのは、「問題の原因探し」よりも、「今できる小さな関わり方」に目を向けることです。
たとえば、無理に会話をしようとせず、「おはよう」「おやすみ」と一言だけ声をかける、部屋にご飯をそっと置くだけでも、「あなたを気にかけているよ」というメッセージになります。
また親自身も自分の心を整え、疲れたときは誰かに相談することです。
親が「何とかしなきゃ」と背負いすぎると、苦しくなってしまいます。
だからこそ、親も「助けてもらっていい」「不安になっていい」と思えることが、回復の第一歩なのです。
おわりに:価値は「ある」ものではなく、「感じていい」もの
「自分の価値がわからない」と思い込んでしまうほど、子供は自分を見失っています。
でも、そんなときこそ、私たち大人が伝えたいのは、
「あなたが生きているだけで、私はうれしい」
「今のままのあなたで、十分なんだよ」
という、無条件のメッセージです。
価値は、人から与えられるものでも、成績や行動で証明するものでもありません。
心が少しずつ癒されていく中で、「自分にも価値があるかもしれない」と、子供自身が感じられるようになるまで、
私たちはそっと、根っこを温めるように寄り添っていきたいですね。
あなたへ
もし、いま目の前に引きこもっている子供がいたら、
その子はきっと、「どうしたらこの世界で生きていけるのか」を静かに、必死に模索している最中です。
「子供も、親も、ひとりぼっちにならなくていい。」
そのことを、忘れないでいたいと、心から願っています。
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