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【親の障害受容】「わが子に障害があるかもしれない」と伝えられたとき、親はどう向き合えばいいのか

今回は「保護者の障害受容」についてお話ししたいと思います。

わが子に発達の特性や障害の可能性があるとわかったとき、
保護者の皆さまは、これまでの人生観や子育て観が大きく揺らぐ経験をされます。

これは、どの保護者の方にも起こり得る自然な心の動きであり、
同時に、誰もがひとりで乗り越えられるとは限らないものです。

今回は、私たちが保護者の方々と関わる中で見えてきた「障害受容のプロセス」や、「どのようなサポートがあると気持ちが整理されやすいのか」について、専門的な視点も交えてご紹介します。




親が直面する「障害受容の段階」とは

保護者が子供の障害や発達の特性に向き合っていく過程は、心理学や家族支援の分野では「障害受容のプロセス」として知られています。これはおおむね、以下のような段階をたどることが多いです。

1 ショック期
「うちの子に障害があるかもしれない」と伝えられた直後、現実を受け止めきれず、強い衝撃や混乱に見舞われる段階です。心が麻痺したようになったり、何も考えられなくなったりする方もおられます。

2 否認期
「そんなはずはない」「きっと一時的なものだ」と現実を否定し、なんとか“普通”であることにしがみつこうとする段階です。この時期には、周囲の子供と比べてしまう気持ちや、「他の人には分かってもらえない」という孤独感が強まることもあります。

3 罪悪感・無力感の時期
「私の育て方がいけなかったのでは」「何かを見落としていたのかも」といった自責の思考に陥ることがよくあります。また、「この子の将来はどうなるのか」「何もしてあげられない」と感じる無力感も伴います。

4 再構築・受容の時期
子供の特性を少しずつ理解し、「この子にとって必要な関わり方は何か」と考えられるようになると、保護者の視野が広がり始めます。これは、障害を「克服するもの」ではなく、「理解し、共に生きていくもの」として捉え直す過程でもあります。

このような段階は、直線的に進むものではなく、行きつ戻りつしながら、保護者ごとに異なるリズムで進みます。


「普通」へのこだわりが苦しさを生むことも

私たちの社会は、今なお「標準」や「平均」への同調圧力が強く存在しています。
そのため、わが子が他の子と違う発達のあり方をしていると、保護者の方は無意識のうちに「普通に育てなければ」「遅れていることが問題だ」と感じてしまうことがあります。

ですが、発達とは本来、一人ひとり異なるテンポと個性をもった過程です。
平均や枠組みに当てはめることで、子供本来の良さや強みが見えにくくなることもあります。


保護者に必要なのは、「責めない場所」と「語れる相手」

保護者の方々がこのプロセスを一人で抱え込んでしまうと、自己肯定感が著しく低下し、育児への自信を失うことにつながりかねません。

そこで私たちが大切にしているのは、

・「責められない場」で感情を吐き出すこと

・「わかってくれる人」と安心して話すこと

・「似たような経験をした親」とつながること

です。

フリースクールでは、保護者の面談や個別相談の中で、こうした安心の場を意識して設けています。
また、ピアサポート(親同士の交流)や保護者勉強会の機会も大切にしています。


「受容」とは、子供の未来を共に考えること

「受け入れる」とは、決して「諦める」ことではありません。
むしろ、「この子に合った環境・関わり・学び方は何か」を一緒に探しながら、
その子らしく生きていく力を育んでいくスタート地点でもあります。

特性のある子供たちは、環境や関わりが合えば、ぐんと力を発揮します。
「この子にはこういう関わりが合うかもしれない」
「こういう学び方なら集中できる」

そうした発見の積み重ねが、親としての安心感につながっていきます。


「あなたの気持ちにも、寄り添いたい」

フリースクールには、学びに困難さを抱える子供たちが多く通っています。
でも同時に、保護者の方々もまた、大きな悩みや葛藤の中で日々を過ごしておられることを、私たちは日々感じています。

だからこそ私たちは、子供だけでなく、保護者の気持ちにも丁寧に寄り添うことを大切にしています。

「こんなふうに感じる私はダメな親かもしれない」
そう思ったときこそ、ぜひ安心してお話しにきてください。

「親も子供も、ありのままでいられる場所」
それが、私たちのフリースクールの願いです。

 

 

 

 

 

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