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【生きづらさを乗り越えるために必要なこと】回復と成長へのステップ②〜「そのままのあなたで大丈夫」と伝えてくれる人の存在〜

私たち大人も含め、子供たちが生きづらさを乗り越え、生きるためには、どの方法が自分に合っているのか、試行錯誤の連続だと思います。

失敗もします。勇気が出せない時もあります。それでも生きていかねばなりません。諦めればそこから抜け出すことはできません。

支える側も、子供が立ち直るまで根気と本気を試されます。

困難を抜け出した先にはきっと素晴らしい景色が待っていることを忘れずに、どうか一人で悩まないように、仲間はきっといます。




人との関係が、生きづらさを生むこともある

人は誰かとのつながりの中で育ち、自分を形づくっていきます。
だからこそ、人との関係が「傷」になることもあれば、「癒し」になることもあるのです。

特に、生きづらさを抱えた子供たちにとって、「他人の目」は常に意識せざるを得ないもの。
学校での叱責、家庭でのすれ違い、友人関係のトラブル――
そうした日々の積み重ねの中で、「また自分が悪いんだ」「自分はダメな人間なんだ」と、自分を否定する心のクセが育ってしまうことがあります。

では、どうすれば子供たちは再び、人との関わりを信じられるようになるのでしょうか。
それは、「否定されない関係性」を築くことから始まります。


関係性の再構築とリペアレンティングの視点

私たち大人ができることは、子供が「否定されない」経験を積み重ねていけるよう、意識的に関係性を築き直すことです。

これは心理学的に言えば「リペアレンティング(再養育的関係)」とも呼ばれ、過去に満たされなかった安心感や信頼感を、今ここで丁寧に育て直すことを意味します。

たとえば子供が、
・イライラして不機嫌になる
・話しかけても返事をしない
・小さなことでかんしゃくを起こす

そんな場面で、私たちがつい「わがまま」「どうして言えないの」と反応してしまうと、子供は「やっぱりわかってもらえない」と感じ、心を閉ざしてしまいます。

でも、そうではなく「今はつらいのかもしれない」「話せない気持ちがあるのかもしれない」と受け止めることで、子供は「否定されなかった」体験を得るのです。

フリースクールでは、この“否定しない姿勢”を日常の中で大切にしています。

・できないことを「責めない」

・気分や態度の変化を「否定しない」

・その子のペースを「急かさない」

・価値観やこだわりを「決めつけない」

これは「甘やかすこと」とは違います。
むしろ、「その子が何を感じているのか、どうしてそう行動するのか」を理解しようとする姿勢を大切にするということです。

関係性を築くとは、「言葉をかけること」だけではありません。
言葉がなくても、ただ隣にいて、見守って、気持ちが落ち着くまで待つ。
そうした沈黙の中の寄り添いもまた、信頼を育む大切な時間です。


否定されない経験が、自分を取り戻す力になる

「どうせわかってもらえない」
「また怒られるかもしれない」
そんなふうに心を閉ざしていた子が、少しずつ、「この人なら大丈夫かもしれない」と思い始める瞬間があります。

それは、否定されない関係性の中で、自分自身の存在を回復していくプロセスのはじまりです。

私たち大人のちょっとした言葉や態度が、子供にとっては自分の価値を測る“ものさし”になってしまうことがあります。
だからこそ、まずは「あなたがそう感じるのは自然なことだよ」と伝え、子供が安心して“自分を出していい”と思える関係性を築いていきたいものです。

次回は、そうした関係性の中で少しずつ育っていく、「自分の気持ちに気づき、言葉にする力」について考えていきます。

 

 

 

 

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