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発達障害のある子供の「友達づくり」を支えるために〜フリースクールで大切にしたい関わりとまなざし〜

フリースクールには、学校ではなかなかうまく過ごせなかった子供たちが集まってきます。その中には、発達障害と診断された子供や、特性としてコミュニケーションや感覚の違いを持つ子供も多くいます。

私たち大人は、子供たちが友達を作れるための支援と配慮をしながら、成功体験を積むなど、自己肯定感を育むためのサポートをしていきたいですね。




「友達になりたい気持ち」はあるけれど…

一見すると「一人で遊ぶのが好きな子」と見えることもありますが、多くの子供たちは、実は「誰かと仲良くなりたい」「友達がほしい」という気持ちを心の奥に持っています。ただその気持ちを、どのように表現したらよいのか、どう伝えたら受け入れてもらえるのかがわからず、戸惑っていることも少なくありません。

例えば、自分の好きなことを一方的に話し続けてしまったり、冗談のつもりが相手を傷つけてしまったり、ちょっとした順番の違いに強くこだわってトラブルになってしまうような場面も見られます。これらは「わがまま」「空気が読めない」と誤解されやすいのですが、背景には発達特性に伴う認知の違いや、感情のコントロールの難しさがあることが多いのです。

こうした子供たちが安心して他者とつながるためには、「まず人に近づいてみよう」と思えるような、心理的な安全のある環境づくりが重要です。大人が「友達をつくろう」と促すのではなく、子供が自分のペースで関係を築けるような土台をつくる必要があります。


フリースクールでできる環境づくり

フリースクールでは、まず子供一人ひとりの安心できる居場所を確保することが出発点になります。誰にも話しかけられずにいる子に、無理に声をかける必要はありませんが、「困ったらそばにいるよ」「見守っているよ」というサインを静かに送り続けることが大切です。そして、子供が少しずつ自分の興味や関心を表に出しはじめたとき、そのタイミングを逃さず、「あ、それ好きなんだね。○○くんも好きって言ってたよ」とさりげなく人との接点をつくっていきます。


スタッフの関わり方の工夫

子供同士の遊びの中で関わりが生まれたときには、必ずしもスムーズにいくとは限りません。時にはぶつかり合いや誤解も起こるでしょう。そんなとき、大人がどちらかを一方的に叱るのではなく、「どうしてそんな気持ちになったのか」「相手はどう受け取ったのか」を、ゆっくり一緒に整理する時間が必要です。これは“修復的対話(リストレイティブ・プラクティス)”と呼ばれる支援のひとつで、子供が自分の感情や行動を言語化する力を育てるだけでなく、人との関係に対する信頼感を高める働きがあります。


保護者との連携も大切に

また、周囲の子供たちにとっても「違うって悪いことじゃないんだ」「わかりあうって面白い」という経験ができるよう、日頃から多様性について話す機会を設けたり、関係性の中で大人自身が寛容な姿勢を見せていくことも重要です。

そして何よりも、私たち大人が「この子はきっと誰かとつながっていける」という信頼を持ち続けること。そのまなざしが、子供の心をそっと支え、時間をかけて人との関係性を築いていく力へとつながっていきます。


終わりに

“友達”とは、何か特別な存在を急いで手に入れるものではなく、自分自身を肯定される経験の積み重ねの先に自然と生まれてくる関係です。

だからこそフリースクールという自由で柔らかな場でこそ、子供たちが安心して人と出会い、少しずつ心を開いていけるような支援が求められているのです。

 

 

 

 

 

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