
今回は、保護者の方からご相談を受けることが多い「子供の自信の育て方」についてお話ししたいと思います。
自信とは、「自分で大丈夫」という感覚
フリースクールに通う子供たちは、初めの頃、「自分にはできない」「どうせ失敗する」といった言葉をよく口にします。自信がないということは、単に“成功体験が少ない”というだけではありません。自信が育つには、「自分という存在がそのままで受け入れられている」という感覚が、何よりも必要なのです。
自己肯定感と自己効力感は、どう違う?
心理学では、自信を「自己肯定感」や「自己効力感」という概念で捉えます。自己肯定感とは、自分という存在に対する基本的な価値の感覚のこと。結果に関係なく、「自分には意味がある」と感じられる状態を指します。一方、自己効力感は「やればできそう」と思える感覚で、実際に行動する力の源になります。
このふたつは、子供の日常の中で少しずつ育っていくものです。たとえば、何かに挑戦して失敗したときに、それでもなお「あなたのやろうとした気持ちは大切だったよ」と言葉をかけられることで、子供は「失敗しても自分の価値は変わらない」と安心できます。あるいは、自分のペースで取り組むことを認められたとき、「これならできそう」と感じ、自ら進んで次の一歩を踏み出せるようになります。
私たちの教室でも、子供の“できた”をただ評価するのではなく、“やってみようとした気持ち”や“取り組みの工夫”に目を向けて関わるようにしています。結果ではなく過程を大切にすることで、子供たちの中に「やってよかった」「またやってみようかな」という前向きな感覚が少しずつ芽生えていきます。
また、失敗したときの関わり方もとても大切です。大人が失敗を責めずに、「どうしてそうなったのかな」「次はどうしようか」と一緒に考えることで、子供は「失敗しても自分で考えられる」という感覚を手にします。これは自信の根っこを支える大きな力になります。
自信は「成功体験」からだけでは育たない
ご家庭でも、お子さんが「できた」ときだけでなく、「がんばろうとした」「嫌だったけど話せた」「少しだけ前に進んだ」といった、小さな心の動きを丁寧に受けとめてあげてください。とくに、子供がうまくいかなかったときにこそ、「見てたよ」「それでもあなたを信じているよ」という姿勢を示すことが、何よりも心に残る支えとなります。
自信は、一度に育つものではありません。いくつもの経験の中で、「失敗しても大丈夫」「自分でいていい」と感じられる時間を積み重ねていく中で、ゆっくりと根を張っていきます。
最後に
私たちは、フリースクールという安心できる環境の中で、子供たちがそうした時間を一つずつ取り戻していけるよう、日々寄り添っています。そして、ご家庭でもお子さんの変化に気づき、共に歩んでくださる保護者の方と手を取り合いながら、「自分で大丈夫」と思える心の育ちを支えていきたいと考えています。
子供が少し笑ったとき、少し話せたとき、少しやってみようとしたとき――それはすべて、確かに自信の芽が育っている証です。
その芽がやがて大きく育ち、自分自身を信じる力へとつながっていくことを、私たちは願ってやみません。
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