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【生きづらさを乗り越えるために必要なこと】回復と成長へのステップ③〜気持ちに気づく・言葉にする〜

親や兄弟姉妹としては、当たり前のことを話しているだけなのに、なぜかお子様を怒らせてしまう、そんな経験がある保護者の方もいらっしゃるかもしれません。

心の我慢の限界が来た時、一度に溢れてしまう思い。

「もっと上手に伝えたいのに」自分でも悲しくて、涙が溢れる。

「少しずつで大丈夫。」いつもそうやって子供たちの心に寄り添える私たちでありたいですね。




感情に“フタ”をしてきた子供たち

生きづらさを抱える子供たちの中には、自分の気持ちを感じないようにしてきた子が多くいます。
「怒っちゃダメ」「泣いちゃいけない」「我慢しなきゃいけない」
そんなふうに、日々の中で繰り返し「本当の気持ち」を押し込め、やがて何を感じているかすら、わからなくなる。

これは、いわゆる「感情麻痺」や「解離的な反応」と呼ばれることもあり、発達障害や不登校、トラウマ体験を抱える子供たちによく見られる現象です。
特に「良い子」と呼ばれてきた子供ほど、自分の感情を後回しにし、「まわりが求める自分」でいようとします。

でも、自分の気持ちを知らないままでは、自分を取り戻すことはできません。
だからこそ、回復のプロセスにおいて必要なのが、「自分の気持ちに気づき、少しずつ言葉にすること」なのです。


言葉にならない感情と向き合うには

「今、どんな気持ち?」
このシンプルな問いに、すぐに答えられない子供は少なくありません。

特に、不安や緊張、怒り、悲しみといった「不快な感情」は、「感じてはいけない」と思い込んできた子が多いため、言葉にすることそのものが怖いのです。

そこで大切になるのが、子供が安全に気持ちを感じてもいいと信じられる関係性です。

たとえばフリースクールでは、子供が無理に話すのを待たず、
「今日はしんどそうだね」「今はちょっと静かにいたい感じかな?」と、こちらから気持ちの「仮名」を差し出すような関わりをしています。
これは、心理療法でも使われる「情緒の代弁(Emotion Labeling)」という手法で、「自分の気持ちを他人がわかろうとしてくれた」体験が、子供の心の整理につながっていきます。

また、こんな支援も有効です:

  • 感情カードや色カードを使って「いまの自分」を表す

  • 日記やメモなど非言語の表現で感情を出す

  • ロールプレイやぬいぐるみを使って間接的に気持ちを話す

  • 「昔の自分」について語る中で感情を思い出す

ここで大切なのは、「正しく言えなくてもいい」という姿勢です。
感情はあいまいで揺れ動くものですから、「うれしいけど少しこわい」といった複雑な感情に名前をつけることも、十分な「気づき」です。

こうしたプロセスを通じて、子供たちは少しずつ自分の内面に触れる力を取り戻していきます。


気づけた感情が、行動の選択肢になる

「悲しかった」
「怒ってたんだと思う」
そんなふうに、かつて言えなかった気持ちに名前をつけられたとき、
子供は初めて、「自分の人生を自分で理解する」感覚を持ち始めます。

これは、回復の上で非常に大きな意味を持ちます。
自分の気持ちを認識できるようになることで、行動や対人関係の選択肢が増え、自己調整力(セルフレギュレーション)も育っていくのです。

「自分が何を感じているのかわからない」状態から、
「こう感じていたのかもしれない」「それを伝えてもいいのかもしれない」と思えるまでには、時間がかかります。

でも、その時間を一緒に歩む大人の存在こそが、子供にとっての「回復の足場」になります。

次回は、感情に気づいた子供が次に必要とする「失敗しても大丈夫な経験」についてお話しします。

 

 

 

 

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