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【生きづらさを乗り越えるために必要なこと】回復と成長へのステップ④〜「やってみよう」と思える心を取り戻すために〜

お子さんの不登校、引きこもりなどで悩んでいらっしゃる保護者の方々に、私たちは「親を支える」ことも重要な支援と考えています。

子供たちは自分のことで親が悩んでいる姿を見ると辛く感じるものです。多くの当事者の方は「親には親の人生を生きてほしい」と言います。

無理に明るくする必要はないのですが、ある程度「自分の人生」を大切に、楽しむことも忘れないでいただきたいのです。

「家庭」の雰囲気が良ければ、子供たちにも良い影響を与えると私たちは考えます。




失敗が怖い子供たち

「うまくできなかったらどうしよう」
「また怒られるかもしれない」
「最初からやらない方がラクだよ」

そんなふうに、“挑戦”そのものを避けてしまう子供がいます。
これは、意欲がないのではありません。
過去に何度も、失敗を責められたり、努力が認められなかったりしてきた結果、「挑戦=傷つく」経験として学習してしまった状態なのです。

子供たちが「自分にはできない」「どうせムリ」と口にする背景には、失敗を許されなかった過去があることが少なくありません。
だからこそ、次に必要なのは、失敗してもいいという体験の積み重ねです。


「失敗=悪いこと」ではない環境をつくる

学校ではどうしても、「正解を出す」「ルール通りに動く」ことが求められる場面が多く、そこに苦手さを感じる子供たちは、失敗することに対して強い不安を抱くようになります。

特に、発達障害やHSC(ひといちばい敏感な子)の子供は、
・過剰な自己モニタリング(まちがいを極度に気にする)
・“0か100か”で考える(完璧でなければ失敗だと感じる)
・感情の切り替えの難しさ(失敗すると立ち直れなくなる)
といった特性から、ミスやつまずきへの耐性が非常に低くなる傾向があります。

だからこそ、フリースクールでは「うまくいかなくても大丈夫」という感覚を、実体験として積み重ねていく支援を大切にしています。

たとえば――

  • 工作や料理など、「完成しなくても楽しい」活動

  • ゲームや遊びの中で、“ルールの枠”をゆるめて経験を共有する

  • その日の気分でやめてもOK、途中で変えてもOKという自由度

  • 失敗した時、「やってみたこと」を言葉で肯定する姿勢(例:「途中までやったね」「気づいてやめたのもすごいね」)

大人が「結果」ではなく「プロセス」に目を向けて声をかけることで、
子供たちは「失敗しても、自分の価値は下がらない」と学んでいきます。

これは心理学でいう「セルフ・エフィカシー(自己効力感)」の育成にもつながります。
つまり、「自分はやってみる力がある」「何とかなるかもしれない」と思える心の土台です。

また、失敗しても再チャレンジできる環境にいることで、「レジリエンス(回復力)」も自然と育まれます。
これは、社会に出てからも非常に大切な“生きる力”の一部です。


挑戦する勇気は、小さな「大丈夫」から育つ

「間違っても怒られなかった」
「やってみたら、思ってたより楽しかった」
「うまくいかなくても、笑って終われた」

そんな小さな経験の一つひとつが、子供の心に「大丈夫だった」という実感を残します。
そしてそれが、「次の挑戦への“勇気の種」になります。

大人がつい口にしがちな「ちゃんとやって」「最後までやりなさい」という言葉の代わりに、
「やってみようか」「やめたくなったら教えてね」といった選択と安心を与える声かけを増やすことが、子供の挑戦心を育む土壌になります。

子供が「失敗しても大丈夫」と思えるようになること。
それは、「自分を信じられるようになる」ことに直結しています。

次回は、そのような体験を通して少しずつ築かれていく、「自分の特性やスタイルを知る」ことの大切さについてお伝えします。

 

 

 

 

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