
「なんだかいつも気分が晴れない」「毎日がつまらなくて、やる気が出ない」。そんな様子が続いていたら、それは“性格”や“怠け”ではなく、心の病のサインかもしれません。
今回は、意外と知られていないけれど、多くの人が悩まされている可能性のある「気分変調症」についてお伝えします。
気分変調症とは?
気分変調症(Dysthymia)は、慢性的に軽度〜中等度のうつ症状が続く精神疾患です。2022年のDSM-5(精神疾患の診断マニュアル)では、「持続性抑うつ障害」とも呼ばれます。
特徴的なのは、症状が2年以上(子供では1年以上)続くこと。日常生活は何とか送れていても、以下のような状態が続きます。
-
楽しいと感じることが少ない
-
自分に自信がない
-
集中力が落ちている
-
眠れない、または寝すぎてしまう
-
食欲の増減
-
疲れやすく、活力がわかない
これらは、一般的な「うつ病」と比べると軽度であることが多いため、本人も周囲も見過ごしてしまいがちです。
子供や思春期にも起こる?
はい、気分変調症は子供や10代の若者にも見られます。
例えば…
-
いつも不機嫌そう
-
愚痴っぽく、否定的な言葉が多い
-
学校や部活への意欲が湧かない
-
「自分なんか…」と自己否定が強い
-
体調不良を頻繁に訴えるが、検査では異常がない
こうした様子が1年以上続く場合、気分変調症の可能性も考えられます。
原因と背景
原因は一つではありません。以下のような複合的な要因が考えられています。
-
脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)の不均衡
-
遺伝的素因(家族にうつ病の人がいる場合)
-
幼少期のトラウマや家庭環境
-
慢性的なストレスや孤立感
特に、自己肯定感が育ちにくい環境や、無理に「がんばり続けてきた」背景がある人に多く見られます。
対処法・治療法
気分変調症は、治療可能な疾患です。放置せず、以下のような対処が重要です。
-
心療内科や精神科での受診・診断
-
認知行動療法などの心理療法
-
抗うつ薬(SSRIなど)の処方
-
安定した生活リズムの確保
-
話を聴いてくれる第三者の存在
また、学校や職場、家庭の中で無理をし続けない環境づくりも大切です。
周囲の理解がカギ
気分変調症は「怠けているわけではない」という正しい理解が、回復への第一歩です。
特に子供や若者の場合、「明るくしなさい」「がんばればできる」といった励ましが、かえってプレッシャーになることも。
「最近元気がないな」と感じたら、「どうしたの?」「気になることがある?」と否定せずに話を聞くことが何よりのサポートになります。
まとめ
気分変調症は、“長引く心の曇り空”のような病気です。見過ごされがちですが、早めに気づいて適切に関わることで、心の晴れ間を取り戻すことができます。
「なんとなくずっとつらい」「以前のような自分じゃない」と感じたら、どうか一人で抱えず、支援を受ける一歩を踏み出してください。
ステラBASEへのお問い合わせ・ご質問・お悩みは、お気軽に「問い合わせフォーム」より相談ください。