近年、「不登校」の子どもは増え続けており、社会的にも大きな課題となっています。
文部科学省が公表した「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、小中学校における不登校児童生徒数は約35万4千人(353,970人)にのぼり、過去最多を更新しました。
文部科学省の調査についてはこちら
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422178_00006.htm
「不登校」は特別な問題ではなく、どの家庭にも起こりうる身近な課題となっています。不登校の子どもの中には、本人も「なぜ学校に行けないのか分からない」と感じているケースが少なくありません。その背景には、さまざまな要因が重なっていることが多く、理由をひとつに特定することが難しいという特徴があります。そのため、保護者にとっても「どのように対応すればよいのか分からない」と悩んでしまう場面が多く見られます。
このように、不登校は「理由が見えにくいこと」そのものが大きな特徴のひとつです。本記事では、文部科学省のデータをもとに、不登校の理由が分かりにくい背景を整理するとともに、子どもに見られやすいサインや具体的な理由の傾向について解説していきます。
文部科学省が定義する不登校とは
不登校とは、単に「学校を休んでいる状態」を指す言葉ではありません。文部科学省では、不登校を次のように定義しています。
何らかの心理的、情緒的、身体的、または社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にあるため、年間30日以上欠席した者この定義から分かるように、不登校はひとつの理由で起こるものではなく、さまざまな要因が関係している状態
とされています。また、「登校しない」だけでなく、「したくてもできない」場合も含まれている点が特徴です。
小中学生の不登校の割合と推移
小中学生の不登校は、年々増加しています。
先述したように、令和6年度の文部科学省の調査では、不登校の児童生徒数は35万人を超え、過去最多となりました。
また、割合としては小中学生全体のうち約3〜4%とされており、不登校は決して珍しいものではありません。
さらに、学年が上がるにつれて不登校の割合は高くなる傾向があり、特に中学生でその割合が高いことが分かっています。
小中学生に多い不登校の理由とは
ここまで見てきたように、不登校の理由はひとつに特定できるものではなく、「分からない」と感じられるケースも少なくありません。
しかし実際には、まったく理由がないわけではなく、いくつかの共通する背景が見られることもあります。ここでは、小中学生に多く見られる不登校の理由について整理していきます。
人間関係によるストレス
不登校の理由として多く見られるのが、人間関係に関するストレスです。
人間関係と聞くといじめを想像しがちですが、必ずしもそれだけが原因ではありません。友達との距離感がうまくつかめなかったり、周囲に気を使い続けたりする中で、少しずつ疲れが積み重なっていくこともあります。
一見すると問題がないように見える場合でも、子どもにとっては大きな負担となり、学校から足が遠のくきっかけになることがあります。
学習への不安やプレッシャー
学習面での不安やプレッシャーも、不登校につながる大きな要因のひとつです。
授業についていけないと感じたり、内容が分からないまま進んでしまったりすることで、学校そのものへのハードルが高くなっていきます。さらに、テストや評価への不安が重なると、「行ってもどうせ分からない」という気持ちが強まり、登校への意欲が下がってしまうこともあります。
このように、「分からない」という経験が積み重なることで、自信を失い、学校に向かうこと自体が負担になってしまうケースも少なくありません。
無気力・やる気が出ない状態
文部科学省の調査でも多く見られるのが、「無気力」や「不安」といった状態です。
これは単にやる気がないというよりも、心や体のエネルギーが低下している状態と考えられます。日々のストレスや疲れが積み重なることで、気持ちが動かなくなり、行動に移すことが難しくなっていきます。
その結果、「めんどくさい」といった言葉で表現されることもありますが、その背景には疲労や不安といった見えにくい負担が隠れている場合も多いのです。
生活リズムの乱れ
生活リズムの乱れも、不登校につながる要因のひとつです。
夜更かしが続いたり、朝起きることが難しくなったりすることで、学校の生活リズムとのズレが生じていきます。その状態が続くと、登校すること自体が負担になり、欠席が増えてしまうことがあります。
一度崩れた生活リズムはすぐには戻りにくく、そのことが不登校を長引かせる要因になることもあります。
家庭環境や安心感の影響
家庭環境も、不登校に影響を与える重要な要素です。
例えば、過度な期待やプレッシャーを感じていたり、関わりが強すぎたり、逆に十分な関心が得られていなかったりする場合、子どもの心の安定に影響が出ることがあります。
また、家庭が安心できる場所であるかどうかは、外に向かうエネルギーにも関係します。安心して過ごせる環境があるかどうかが、学校に向かう力に影響することも少なくありません。
このように、不登校の背景にはさまざまな理由があり、ひとつに特定できるものではありません。だからこそ、「理由が分からない」と感じる場合でも、子どもの言葉や様子の中にヒントが隠れていることがあります。
次の章では、その中でもよく見られる「めんどくさい」という言葉の背景について、さらに詳しく見ていきます。
「めんどくさい」と感じる心理とは
不登校の子どもからよく聞かれる言葉のひとつに、「めんどくさい」があります。一見すると「やる気がない」「怠けている」と捉えられがちですが、実際にはそう単純なものではありません。この言葉の背景には、子どもなりの理由や状態が隠れていることが多く、丁寧に理解することが大切です。
「めんどくさい」は本音を言い換えた言葉
子どもが口にする「めんどくさい」という言葉は、本当の気持ちをそのまま表しているとは限りません。「めんどくさい」という言葉は、単なる気分ではなく、子どもがうまく言葉にできない思いを伝えようとするメッセージと捉えることもできます。その背景には、例えば
・授業についていけるか不安
・友達とうまく関われるか心配
・先生に注意されることへの緊張
といった心配事が隠れていることがあります。
こうした不安やしんどさ、気持ちの整理がつかない状態が重なり、「めんどくさい」という言葉で表現されている場合も少なくありません。
エネルギーが低下しているサイン
「めんどくさい」と感じる背景には、心や体のエネルギーが低下している状態が考えられます。日々のストレスや疲れが積み重なることで、何かを始める気力が湧かなくなり、行動そのものが負担に感じられるようになります。その結果、「やりたくない」というよりも、「やる力が出ない」という状態に近いケースも少なくありません。こうした場合は、無理に行動を促すのではなく、まずは十分に休息を取れる環境を整えることが大切です。
また、小さなことから始められるようにすることで、少しずつエネルギーを回復させていく関わりも有効です。例えば、「朝起きる」「着替える」といった日常の中の小さな行動に目を向け、できたことを認めていくことで、無理なく次の一歩につながりやすくなります。
「めんどくさい」という言葉の裏にあるもの
子どもなりの不安やしんどさ、伝えきれない思いが隠れていることがあります。その言葉だけで判断するのではなく、「どんな気持ちがあるのだろう」と一歩立ち止まって考えてみることが大切です。無理に変えようとするのではなく、安心できる環境の中で、できることを少しずつ積み重ねていくことが、回復への一歩につながっていきます。
不登校の子どもへの関わり方
ここまで見てきたように、不登校の背景にはさまざまな要因があり、子ども自身も理由をうまく言葉にできないことがあります。
保護者として「原因を突き止める」ことは、もちろん大切ですが、今の子どもの状態に合わせた関わり方を考えるという視点を持つことも重要です。
ここでは、不登校の子どもに対して意識したい関わり方について解説します。
無理に登校を促さない関わり
不登校の状態にある子どもに対して、無理に登校を促すことは、かえって負担を大きくしてしまう場合があります。
文部科学省も、不登校は無理に登校させることで解決するものではなく、子どもの状態に応じた支援が重要であるとしています。
登校を急がせることで、不安やプレッシャーが強まり、状態が悪化してしまう可能性もあります。
まずは「今は休む時期かもしれない」という視点を持ち、子どものペースを尊重することが大切です。
気持ちに寄り添うコミュニケーション
子どもと関わるうえで大切なのは、気持ちを否定せずに受け止めることです。
「どうして行けないの?」と理由を問い詰めるのではなく、「そう感じているんだね」と気持ちに寄り添う言葉をかけることで、子どもは安心しやすくなります。
前の章でも触れたように、「めんどくさい」という言葉は、子どもからのメッセージである場合もあります。
その言葉の背景にある気持ちに目を向けることで、信頼関係を築くことにつながります。
安心して過ごせる環境を整える
不登校の子どもにとって、家庭は心と体を休める大切な場所です。
安心して過ごせる環境があることで、少しずつエネルギーが回復し、外に向かう力が育っていきます。
そのためには、
過度に干渉しすぎず、かといって放任にもならないよう、適度な距離感で見守ることが重要です。
子どもが「ここにいれば大丈夫」と感じられることが、回復の土台になります。
小さな一歩を大切にする関わり
不登校の状態からいきなり学校復帰を目指すのではなく、まずは日常生活の中での小さな一歩を大切にすることが重要です。
例えば、朝起きる、着替える、外に出てみるといった行動も、子どもにとっては大きな前進です。
できたことに目を向けて認めていくことで、少しずつ自信が回復し、次の行動につながっていきます。
焦らず段階的に進めていくことが、結果的に安定した回復につながります。
学校や専門機関とつながる
家庭だけで抱え込まず、学校や専門機関と連携することも大切です。
学校にはスクールカウンセラーや相談窓口があり、子どもの状況に応じたサポートを受けることができます。
また、適応指導教室など、学校以外の選択肢もあります。
第三者の視点が入ることで、新たな気づきや支援の方向性が見えてくることも少なくありません。
不登校の子どもへの関わり方に「これが正解」というものはありませんが、共通して大切なのは、子どもの状態に寄り添いながら関わることです。
焦らず、一歩ずつ進んでいくことが、結果として子どもの回復につながっていきます。
不登校と向き合うために大切な視点
不登校は、さまざまな要因が重なって生じるものです。
文部科学省のデータからも分かるように、不登校は決して特別なものではなく、多くの子どもにとって身近な課題となっています。また、本人自身も理由が分からないと感じていることがあるため、周囲が原因をはっきりさせようとするほど、かえって負担になってしまう場合もあります。
大切なのは、「なぜ行けないのか」を問い続けることよりも、今どのような状態にあるのかに目を向けることです。子どもの言葉や様子の中にあるサインを受け取り、安心できる環境の中で少しずつエネルギーを回復していくことが、次の一歩につながっていきます。
不登校への関わりに正解はありませんが、焦らず、子どものペースに寄り添いながら関わっていくことが、結果として子どもの回復と成長を支える大切な土台になります。
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