
~甘えではない、その背景と支援のかたち~
「うちの子はなぜ学校に行けないのだろう」「これは甘えなんじゃないか」——。不登校を前に、多くの保護者が抱えるこのような不安や葛藤。けれど、今、エビデンスに基づく正しい理解が求められています。
不登校の最新データから見える現実
文部科学省の調査(令和4年度)によると、小・中学校における不登校の児童生徒数は過去最多を更新し、約29万人にのぼっています。これは決して一部の子供たちだけの問題ではなく、どの家庭にも起こりうる「社会全体の課題」だと言えます。
不登校の要因は多様で、学校や家庭、社会との関係性の中で子供自身が疲れ切ってしまっているケースがほとんどです。つまり、不登校は「わがまま」や「甘え」ではなく、子供が心の限界を超えて出している“サイン”なのです。
環境要因が子供の登校に与える影響
不登校の要因には、学業不振や友人関係のトラブルだけでなく、教師との相性や教室の空気、過剰な期待など、「環境」が大きく影響しています。特に発達特性のあるお子さんにとっては、日常的な刺激そのものがストレスになりやすく、学校という場が安全で安心な環境でなくなった瞬間に、登校は難しくなります。
家庭の中でも、保護者の不安や「なんとか登校させなければ」という焦りが、知らず知らず子供にプレッシャーを与えてしまうこともあります。まずは「今のままで大丈夫」と安心させることが、回復の第一歩になります。
フリースクールの役割と効果
学校に行けない=学びをあきらめなければならない、ということではありません。2017年に施行された「教育機会確保法」により、学校外の学びの場(フリースクールなど)も「学びの保障」として位置づけられるようになりました。
当フリースクールでも、学習支援はもちろん、少人数での活動や感情のコントロール、人間関係の練習といった“生きる力”を育む取り組みを行っています。学校という枠組みにとらわれない学びのかたちは、子供に「安心して自分を出せる場所がある」という希望を与えます。
フリースクールに通いはじめてから、表情が柔らかくなり、少しずつ他者と関わろうとする姿勢が見られるようになるお子さんは多くいます。焦らず、時間をかけて、自分のペースで育っていける環境こそが、不登校支援の大切な柱です。
文部科学省の方針と家庭の理解
文科省は近年「多様な学びを認める」方向へと政策を転換しており、不登校の子どもたちを「問題行動」ととらえるのではなく、「学びの多様性を保障すべき存在」として支援の枠組みを整えつつあります。
一方で、現場や家庭での理解が追いつかないまま、子だけが孤立するケースも少なくありません。不登校は「問題」ではなく「個性」や「環境とのミスマッチ」であると捉え直すことが、回復へのスタートラインです。
私たち大人が、まず“正しく理解すること”こそが、子供たちにとって最大の支援です。
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